アンカヴァーリング・ザ・ヴォイスとは?

アンカヴァーリング・ザ・ボイスについて


「アンカヴァーリング・ザ・ヴォイス」とは
普段自分の声にどのくらい耳を傾けているでしょうか?
自分の声がどんな風に響いているのか、またどこに響かせて声をだしているのか意識的に聴いていますか?

 

「アンカヴァリング・ザ・ヴォイス」とは声に掛かった覆いを取り外すと日本語では訳すことができると思います。
人間が生まれながらにして持っている声に成長するにしたがって様々な覆いを被せることにより、本来の声の輝きを妨げてしまっています。ここで云う覆いとは、体の緊張や筋肉の衰え、または心理的な要因が関係している場合もあるでしょう。

 

この歌唱指導法はスウェーデン人、ヴァルボルグ・スヴァルドストローム=ヴェルベック(1879-1972)によって生まれました。

ヴェルベック写真.gif

彼女はオペラ歌手として公演を重ねるうちに、声帯にある種の麻痺を起こしてしまい、まったく声が出ない状態になってしまいました。いろいろな先生の所を訪ねましたが、なかなか思うような回復は望めませんでした。そこで、自らの声を自ら再生しようと試みることにしました。彼女はNGという音に注目しました。日本語にはこの音にあたる文字は存在しないのですが、音声として耳にしています。いわゆる鼻濁音といわれる音です。鼻に抜ける音です。この音はまったく声を出すこともできなかった彼女にとっての救いの音になりました。初めはその音を出しているというイメージから始めたと言います。NGは子音でも母音でもなく、あるいは母音も子音も自らの内に含む中間の音であり、声帯に負担をかけにくい音です。




この音を基盤にして、彼女は練習を繰り返しました。そしてまた歌声を取り戻すことができたのです。
そして彼女は研究をさらに重ねていきました。



その結果、人間の声とは声帯だけに頼って出されるものではないこと、また意識的に溜め込まれた空気をコントロールして声を出す方法も体に余分な力を入れさせてしまうことになり、自然な響きを妨げることになってしまうことがわかりました。
そして頭の先からつま先まで、体全体をまるでひとつの楽器のように共鳴させる歌いかたを見つけました。



彼女の夫、ルイ・ミヒャエル・ヴェルベックの友人であった、ルドルフ・シュタイナーとの出会いで彼女の研究に新らたに人智学的な観点が加わりました。それまで彼女は体験として様々な現象を目の当たりにしてきましたが、それがどうして起きるのか、何の意味があるのかが理解できないでいました。それをシュタイナーは説明してくれました。こうしてシュタイナーとの共同研究が始まりました。



その後アントロポゾフィー医師オイゲン・コリスコとの出会いもあり、その歌唱指導法はセラピーとしても発展していきました。
現在歌唱療法はドイツ、スイス、イギリス、オランダ、アメリカなどで行われています。療法士たちは治療教育施設、病院、養護学校などの施設で働いています。